1変数記述統計の分野 問7「線形変形による平均・標準偏差」
この問題は摂氏の平均気温と標準偏差から、華氏の平均気温と標準偏差を求めるパターンだね。
標準偏差とか3級でも出てきたけど難しそうだよね。
解説:華氏の平均
摂氏から華氏にする場合の公式は問題分に書いてある通り、「F=1.8C+32」ですね。摂氏の平均は、表に書いてある摂氏温度の合計を主要都市の数17で割り算したもので2.4と書いてあります。華氏の平均に直す場合、単純に上記の式に当てはめればいいので
F=1.8×(2.4)+32
とすればいいですね!掛け算と足し算があったら掛け算を優先して計算しますので、4.32+32=36.32となります。この時点で選択肢は3~5に絞られました。
ここまでは大丈夫そうだ。
解説:華氏の標準偏差
不偏分散のときの割る数
次に、華氏の標準偏差を求めます。問題文に、「ここで標準偏差は、不偏分散の正の平方根とする」とかいてあります。分散を求める場合、「データの数」で割る場合と、「データの数-1」で割る場合があります。
この「不偏分散」というのは、1個だけ自由度を与えることで、全体のデータ(母集団)の分散に近づけるための「遊び」を与えておくためにするものとイメージできます。(データ数で割ってしまうと、遊び部分がなくなるのと、分散が母集団の分散より小さくなりやすい、ということのようです。)「データの数-1」として算出しておくことで、その結果を元に最後のデータ数の部分で調整が可能になる、ということですね!
「不偏分散」ときたら「データの数-1」で割ることを心がけましょう。
分散の復習と式の展開
分散は『「実現した値」から「データの平均値」を引いたものを全データ分計算して合計し、データの数(またはデータの数-1)で割り算し、2乗する』でした。標準偏差は、それを√でくくるだけですね。
\(\sum ^{17}_{i=1}\left( \left( 1.8Ci+32\right) -\left( 1.8\overline{C}+32\right) \right) ^{2}\)
摂氏を華氏にする数式は「F=1.8C+32」です。この式で算出される1都市ずつの華氏(実現した値:上の式の左側)から、華氏の平均(データの平均値:上の式の右側)を引くと、その都市の華氏に対する平均との差が出ますね。それを17都市分計算して合計したもの(Σの部分です)を、不偏分散なので「データの数-1」の16で割ったものが分散。それを√でくくったのが今回求めたい標準偏差SFとなります。
上の式は展開して
\(\sum_{i=1}^{17} \left( 1.8 C_i + 32 – 1.8 \overline{C} – 32 \right)^2\)
\(\sum_{i=1}^{17} \left( 1.8 C_i – 1.8 \overline{C} \right)^2\)
\(\sum_{i=1}^{17} 1.8^2 \left( C_i – \overline{C} \right)^2\)
1.8は前に出すことができますので
\(1.8^2 \sum_{i=1}^{17} \left( C_i – \overline{C} \right)^2\)
となります。だいぶシンプルになりましたので、16で割るのと√を追加しましょう。
\(\sqrt{1.8^2 \times \frac{1}{16} \sum_{i=1}^{17} \left( C_i – \overline{C} \right)^2}\)
そして、1.8の2乗×の次の部分
\(\sqrt{ \frac{1}{16} \sum_{i=1}^{17} \left( C_i – \overline{C} \right)^2}\)
ここって摂氏の標準偏差のことですよね!なので、この部分はScと置くことができます。前半の√1.8の2乗部分は「2乗して1.8の2乗になる数」にすることでルートを取ることができますから「1.8」ということになるので
華氏の標準偏差\(S_{F} = 18 \times S_{c}\) になりますね。Scは問題文で7.0と明記されているので、
1.8×7.0=12.6となり、正解が4、ということがわかります!
まとめ
途中の\(\sqrt{ \frac{1}{16} \sum_{i=1}^{17} \left( C_i – \overline{C} \right)^2}\)が摂氏の標準偏差(=Sc)って気が付くかどうかがポイントだね!
実際の試験の時は時間がないから、y=ax+b形式に変換する場合の標準偏差はaに変換前の標準偏差を掛けるってことで対応する必要があるね!
ひとつずつゆっくり展開していくと、記号が多くても対応できますね。
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