確率分布の分野 問1「確率分布の定数の決定」
この問題では、水道使用量が連続型確率変数Xで表され、その確率密度変数 f(x)が与えられています。
解説
確率密度変数2つの条件
確率密度変数には、2つの条件(ルール)があります。これをまず抑えましょう。
①\(f\left( x\right) \geq 0\)である(関数の値が負ではない)
②\(\int _{-\infty }^{\infty }f\left( x\right) dx=1\)である(全確率が1である)
今回特に大切なのは、②です。すべての確率を合計すると1になる、というのは分かると思います。すべての確率を合計すると100%(確率1)という意味です。それを積分を使って表した式です。
積分を解いてみる
先ほどのf(x)が確率密度関数であるということは、上記②の式を当てはめると
\(\int _{0}^{20}a\left( 1-\dfrac{x}{20}\right) dx=1\) になります。
この積分の意味
高さ\(a\left( 1-\dfrac{x}{20}\right)\)(関数の値)、超短い幅(区間)dxでできる長方形の面積の総和を計算している、という意味です。関数\(a\left( 1-\dfrac{x}{20}\right)\)の線の下の部分の面積の合計を求めています(横軸はx=0からx=20までの間で)。ちなみにこの関数は、x=0の時最大となり、x=20の時に最小となる右肩下がりの関数ということが分かります。
積分のポイント
積分にあたっては次の公式を覚えておく必要があります。
\(\int x^{n}dx=\dfrac{n^{n+1}}{n+1}+C\)
計算上、Cは無視して大丈夫です。\(a\left( 1-\dfrac{x}{20}\right)\)の1は、「\(x^{0}\)」と見ることがポイントです(0乗は1です)。そうすると1の部分は
\(\int x^{0}dx=\dfrac{x^{0+1}}{0+1}+C\)となり、要するに「x」になります。同じようにx/20は
\(\dfrac{1}{20}\int x^{1}dx\)となります(定数1/20は前に出せます)。\( x^{1}\)は積分の公式から
\(\int x^{1}dx=\dfrac{x^{1+1}}{1+1}=\dfrac{x^{2}}{2}\)になります。そして先ほどの定数1/20を掛け算することで、\(\dfrac{x^{2}}{40}\)を導くことができます。
実際の計算と解答
よって、\(\int ^{20}_{0}a\left( 1-\dfrac{x}{20}\right) dx\)は
\(a\int ^{20}_{0}\left( 1-\dfrac{x}{20}\right) dx\)
\(a\left( x-\dfrac{x^{2}}{40}\right) _{0}^{20}=1\) これに20を代入して
\(a\left( 20-\dfrac{400}{40}\right) =1\)
\(a\left( 20-10\right) =1\)
10a=1なので\(a=\dfrac{1}{10}\)となり、4が正解になります。ちなみに、積分で出てきたdxは、超短い幅という意味なので、計算上は無視です。
まとめ
・確率密度関数と出てきたら、\(\int _{-\infty }^{\infty }f\left( x\right) dx=1\)!
・積分の公式\(\int x^{n}dx=\dfrac{n^{n+1}}{n+1}+C\)を理解する。
積分は関数の線より下部分の面積を求めることとイメージして、簡単な問題を解いて慣れておきましょう!
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