中小企業診断士【二次試験対策】こんな答案はダメ!平成29年度事例Ⅱに見る初学者あるある解答例

中小企業診断士

前回の記事では、お恥ずかしながら一次試験自己採点後の週末に初めて中小企業診断士二次筆記試験の過去問(平成29年度事例Ⅰ)に挑戦した時の答案を公開しました。今回も!事例Ⅱを公開しながら、あるあるだけどこんな回答ダメ!!という実例を紹介します。

「百聞は一見に如かず」でまずは答案を見てみよう。

というわけで早速行きます…

はい、いかがでしょうか…。なんと!驚愕の33点!←赤字にしているのは強調のためと思ってやったけど、普通に赤点にしか見えない笑 そしてダメダメな点がたくさん…。一つずつ見ていきましょう。

平成29年事例Ⅱの概要

この年の事例Ⅱは、社員3名、パート3名からなる、商店街の一角にある資本金1,000万円の寝具小売店B社が事例企業となっています。

ちなみに事例Ⅱは「マーケティング」ですので、マーケティングの観点から回答していきます(そして事例ⅡだからB社です。事例ⅠはA社)。B社は接客に強みがあり、リピーターも多いものの、この商店街も地域人口減少や経営者の高齢化による閉店が続いています。収益悪化の主要因は40年ほど前にできた大型スーパー。

そんな中B社の社長は一時廃業も決意しましたが、リピーター顧客の強い希望により、現社長の娘に事業承継を決意するとともに、自社の存続のため新たな手法で顧客獲得を目指すのでした。

この事例では、B社があるX市と全国の年齢別人口構成比がグラフにされており、これを読み取る問題も出てきます。

第1問から第2問

第1問

第1問では、「B社について、現在の自社の強みと競合の状況」をそれぞれ60字以内で回答します。ここは配点20点なので、12点は取りたいところです。

B社の強み

強みとして、B社はこだわりの接客と、副社長(現社長夫人)が作るノベルティ、井戸端会議(時間を持て余した副社長が始めて定着した)、日用品販売(買う頻度が高いため)を活かした継続的な顧客接点などを書きました。10点。

『競合の状況』与件文と設問を素直に読む

競合の状況として、大型スーパーの存在、人口減少によるB社への来店客の影響、商店街の飲食街化に伴う小売店の収益性悪化を書きました。2点。

12点取れているのでOKといえばOKですが、2点のほうはかなりの問題点があります。

問題文と答えがズレています。聞かれたことに答えていないのです。ここで聞かれているのは外部環境でもB社の弱みでも、B社への影響でもありません。

「競合の状況」だけ答えれば良いのです。問題文を読んで、「競合店の強みと弱みね!」と解釈してしまうと、このようにほとんど得点できません。

どの年度の過去問も、強みと弱みを聞く事例が大半を占めるため、過去問を熱心にやった受験生ほど陥りやすい罠です。

大型スーパーは、接客がほとんどなかったり品揃えが良くないなどといったことが与件文に書いてあるので、それを書く必要があります。

第2問

第2問。本部から商品を仕入れているB社。新たに婦人用ハンドバッグの予約会の開催を打診されました。現在のデータベースを活用しながら、この予約会を成功させようと考えています。どのような施策を行うべきか。これを120文字以内で回答する、配点25点の問題です。合格ラインは6割で15点になります。

解答の切り口

答案では、データベース化した先にDMで周知したり、親子世代をノベルティで誘致したり、割引クーポンを発行したりして来客してもらい、来客時に睡眠状況を聞いたうえでアドバイスを行う施策を行うと書きました。8点。

文章だけ見ると悪くなさそうな展開ですが、次の2点で大変残念です。

簡潔に描き、文字数稼ぎに走らない。

残念な点その1。それは

120文字のところ、33文字も余らせている。しかもカタカナ文字を多用して文字数を稼いでいます。

データベース化→DB化。日用品の割引クーポン→日用品割引券。アドバイスを行う→助言する。これで25文字が12文字にまで短縮でき、もっと書けるようになります。なお、英数字や単位(%など)は、半角扱いになるため1マスに2文字書くことが可能です。なので「DB化」で2文字です!

施策には狙い(効果)を!

残念な点その2。

施策を行った結果、どうなるかが書いていない。

なぜその施策をするのか書きましょう。マーケティングの場合、要するに「差別化」です。

そうすることで顧客満足度向上、売上利益増加、といった効果が期待できます。(このように無駄を削いでいくと、だんだん漢文みたいな回答になってきます。)

また、ターゲット層、手段(手法)、も書くといいですね。データベースも、寝具や婦人服の購入履歴もあるとのことなので、それを活かして、などと具体的に書くとよかったです。

第3問~第4問

第3問

第3問。地域内の中小建築業と連携しながら、シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策について、120文字以内で助言せよ。配点30点。超高配点!18点は取りたいところ…8点

具体的なこと=与件文に書いてあること

与件文に書いてあることを書いていないため、具体的に書けていません

中小企業診断士二次試験は、事例企業を診断し、助言する試験です。我々は初めて目にする企業を知る必要があります(外部環境も含めて)。

つまり、与件文に書いてあること以上の情報は、一次試験の知識程度しかないのです。なので、与件文に書いてあることをオウム返しのように書いたり、問題文に書いてあっても改めて書くことが必要です。

『答案用紙に書いたこと』が解答

与件文、問題文を見て「当たり前に分かるってるでしょ」ってことも、解答欄に書かなければわかっていないのと同じです。現に、問題文に書いてある「中小建築業と連携し」をいうのを回答欄に書き写すだけで4点ももらえてます。

また、この問題は「助言せよ」なので、末尾は「~を助言する。」が望ましいです。句読点が解答欄の折り返しにぶつかったときは、作文のルールと同様、1マスの中に入れ込んで良いです。

うまくこのテクニックを使うと、本来句読点分で失うはずだったマスを消費しなくてよくなり、得点の可能性があるキーワードを入れることができます。

第4問

第4問。B社は今後、シルバー世代以外のどのセグメントをメイン・ターゲットにし、どのような施策を行うべきか、図を参考に120文字以内で助言する問題です。25点。ここも15点ほしいところですが、5点

ターゲットは明確に!

グラフを読み取ってどの層に訴求するか、何をするかを助言していく問題です。「今後」と書いてあるので、未来の話です。

事例では、近く娘さんに社長を譲りますし、新たなお客様を獲得していきたい、重要なリピーターを育てたい、地域の繁栄が必要、などと書いているのでその辺を書けるとよかったです。

ターゲット層では、ただ「30代」とか「50代」ではなく、もっと具体的に「〇〇な30代」「50代の〇〇世代」みたいに書くと良いです。

第3問、第4問は得点こそ低いものの、マスを埋めているという進歩があります。初めての挑戦ではまずマスを埋めることが重要です。

そこから無駄を削いで、簡潔かつ的確に表現する必要があります。私も初めはこんな点数でしたが、ちゃんと一次試験後からの対策で受かりましたので大丈夫です。

まとめ

二次試験対策初期においては以下のことを意識してください。

・聞かれたことを答える。

・マスを埋める。カタカナを多用してマスを稼がない。

・英数字、記号は半角扱いなので1マスに2文字入れられる。句読点のルールは作文と同じ。

・与件文に書いてあることを書く。分かっていても解答欄に書いていなければ分かっていないということ。オウム返しになってもよい。

・具体的に書く。形容詞+名詞的な。

・施策をしたらどうなるかまで書く。(誰に、何を、どのように、どうやって、その結果と、得られる効果)→30台の〇〇に、△△のイベントを、イベントの趣味に合いそうなリピーターに、DMで。口コミや来客を促し(←その結果)、売上利益増加(得られる効果)。

まずはこれらを意識して、他の年度の事例にトライしてみましょう。わたしは20年分の過去問をやることで、常に初見問題に触れる戦略を取ったので、この後平成13年の事例Iから、1日1事例をこなしていきました。

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